うさぎ組

ソフトウェア開発、チームによる製品開発、アジャイル、ソフトウェアテスト

ある改善、プラクティスやTryをいつやめるのか。もしくは5000枚のKPTの理由。 #scrumosaka #rsgt2019

先日、 Scrum Fest Osaka 2019というカンファレンスでとある方からこんな質問をうけました。

きょんさんのチームでは、何度かやればうまくいきそうなTryとかプラクティスがあるときに、いつまで挑戦するとか、いつになったらやめるとかそういった基準とかはありますか?

これ聞かれたときに昔の自分だったら「やれなくなるまでは挑戦しつづける」って答えていたとおもうんですよね。でも、今は違うなーと。 僕が答えたのは「やりたい意思がある限り続ける。やりたくないものをやるのは楽しくない。」で、もっと端的にいうと

チームにできるプラクティスは残るし、できないプラクティスは残らない。

というものです。ある種の適者生存というか。プラクティスが正しいから残るのではないというかんじですかね。 ただ、それだと怠惰でルールのないチームは一向に成長しないので、成長するための仕掛けは必要だとはおもいます。 でもそのときに、ただ問題を解決するためにプラクティスをいれることでは定着しないんだろうなーというのが自分の感覚です。 毎日のように徹底された食生活管理と運動を納得してもできないこともあるし。

まだうまくまとめられないんですが、感覚的には「問題を解決する方向と、自分が楽しめる方向が同じ方向をむいている」ってことかなーっておもいます。 で、過去の自分もそうでしたが、「人を問題に寄せる」のはビジネスなんだから当然のようにできるっておもってしまって、いろんなところでヘイトがたまる。。。 いまの基盤チームはそれは時間がかかるのが普通なので、15min毎にとても小さな量のいい事にもわるい事にも触れ続けることで、人を問題に寄せる、問題と一体となるくらいに考えられるような場にしていくことをやるようになりました。それが大量の付箋となっている KPT as ARTなやつです。 Scrum Fest Osaka にておおまかには bleisさんとdico_lequeさんが話してくれました。

f:id:kyon_mm:20190205164220j:plain
KPT as ART

Scrum Fest Osaka 2019 - 感謝のKPT 5000枚 -基盤チームのレトロスペクティブ- | ConfEngine - Conference Platform

KPT as ART になった理由。ふりかえりへのむきあいかた。

わたしからはこれの経緯とか語られなかった部分を。

これも最初からうまくいったかというと、チーム内でいろんな意見もありましたが、わたしはこれがうまくいくと信じていたし、いろんな議論をへて今の形になりました。チーム内であったのは「情報がたくさんあって整理できない」というものでした。これはいわゆるKPTとは情報を整理し、問題や改善案を具象化する行為だと考えていれば当然だとおもいます。でも、私がおもうにそれは長期間存在するチームには無理だということです。おおくの人はかしこいというか、かしこくないので、具象化できる課題はすぐに尽きます。いいかえると、適切な具象化をあまりできません。

人間はあまり賢くないので整理するため具象化するためのKPTというのはすぐに限界をむかえます。これがKPTがうまくいかない根本だと私は考えています。

1週間に1度できないKPTにむかいあうよりも、具象化するための材料となる量を増やしていき、文字通りその情報にかこまれることで、なんとなく自分達の状況が心にうかびあがってくる。そういったスタイルが長期間存続させるチームには最適だと。

ので、ふりかえりででるような情報は整理しながら増やしていくのではなく、好きなときに整理する、どちらかというと、整理できる状況になったら自然とされる、というのがいいのだろうと。エンジニアというのもあって、とかく情報を整理したがる性質からの脱却に時間がかかったメンバーもいましたが、それもふくめてゆっくりと慣れていきました。

これに似たこととして、チームの外から「この付箋を見返すことなんてできないから意味ないでしょ」とかいわれます。これも結局は上と一緒で、KPTとは整理してチームの道標となるべきものであるという考えからだとおもいます。私達はそういうことをこのKPTでやりたいわけじゃないので、別にそういった必要はないという回答になります。

では、基盤チームは自分達が向かうべき場所についてはどのように話しあい、どのようにそれがのこり、どのようにいまかかえている問題がのこるのか。 基本的には会話でなされていて、それがテキストとしてはKPTにのこります。でもその付箋を見返すことはないですね。 チーム内で濃密に会話したときの体験のほうが付箋に貼られるよりずっと記憶にのこり、そして信頼関係を築くためにはずっと大切だと、そう実感しているからです。 そしてまた、私が基盤チームの考えをプレゼンテーションにしていき、みんなの意思がまた1つかたまる。そういったサイクルをこの4年間続けてきた。といったかたちです。

ちょっと長くなってきたので、基盤チームの話はこのへんで。 続きとか、他の話気になるー!って人は、飲みにさそったり、お仕事のご依頼おまちしております。(あ kyon-mm.com