うさぎ組

ソフトウェア開発、チームによる製品開発、アジャイル、ソフトウェアテスト

チームはミッションのためだけではない。生き方そのものである。 #RSGT2020

Regional Scrum Gathering Tokyo 2020というカンファレンスのセッションは公募制で、私も発表してみたかったのでプロポーザルをだしました。 聞いてみたいかたはぜひ下のサイトでVoteしてもらえるとうれしいです。このプロポーザルにおいてどんな話をするつもりなのかをすこし紹介します。

confengine.com

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1. セッション概要の引用

1つのチームが複数のプロジェクトに分裂したとき、そのチームはどうひきつがれるのでしょうか。おなじものにはならないし、それなりの成熟をするには時間がかかる。だから、チームはできるだけ解散してはならない。果たして本当にそうでしょうか?

私達のチームメンバーは複数のプロジェクトにわかれ、PBLもPOもまったく異なるようになりました。それでも1つのチームとして存在する方法を模索しました。その過程で、複数チーム、複数プロジェクトにおける15minスプリントを基盤とするフラクタルスプリント、組織横断な知識交換、プロジェクトに依存しないチームとしての存在意義を見出してきました。私達のチームは解散したようにみえましたが、実際には解散していなかったのです。フラクタルスプリントによってフラクタルチームは成されました。

異なるミッションをもっていても、組織としては軍隊アリやバッファローのような超個体をめざす1つのチームとして機能をするようにまでなりました。プロジェクトのためだけにチームがあるのではありません。わたしたちがいるからチームなのであるという視点をつきつめていき、それは個人や組織の成長にもつながっていく姿をお話します。

2. チームとはなんのためにあるのか

わたしが今まで読んできた書籍であるとか、発表であるとか、会話のなかでは、チームというのはミッションのためにつくられるものであり、そのため同じ目的をいかに共有するのか?という話に焦点があてられていました。 ほかにもチームとグループはちがうとか。ビジネスの世界ではそうだという話がおおくあるとおもっています。

では、プロジェクトがことなれば、ミッションが細分化されていれば、それはチームとはよべない。そういうことになります。そうしてチーム横断での仕事の仕方や組織作りになやむ。そうした日々をおくる。ありふれた風景におもえます。

我々基盤チームも事実上の解散になり、そうなるのかとおもっていました。 でも、我々は基盤チームで仕事をしていくことに誇りをもっており、そしてなによりこのメンバーと仕事をし、失敗も成功もかみしめ、成長をしていくその過程が楽しいとおもってこの5年間をすごしてきました。

ミッションがことなっていても、チームとして存続する方法を模索する。そんな挑戦をはじめました。

3. フラクタルスプリントのスケールアウト

我々がしっている古典的なチーム横断は2つです。横断組織をつくる。そして期間の長いタイミングもしくはアドホックなタイミングで情報の同期をつくる。 これをやっていてはおおきなチームとしては成立しない。基盤チームはこれをかえるために、プロジェクトがことなってもフラクタルスプリントをすることにしました。

なので、プロジェクトがことなるチーム同士で、15minスプリント、1Hourスプリント、1Dayスプリント、1Weekスプリントを実施しています。つまりフラクタルスプリントを複数チームにスケールアウトさせました。

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フラクタルスプリント

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フラクタルスプリントを複数チームで同期させながらおこなう

これによりミーティングの時間はのびたりのびなかったりしていますが、我々の経験上、目安時間からずれてしまうの修練上の誤差のようなものであり、メンバーは「いまは修練の時だ」という認識でただひたすらにこのスケールアウトされたフラクタルスプリントをいかに上手につかいこなすのかということをかんがえています。

4. 発表ではなすこと

おおくの組織でチーム同士をつうじた組織の成長、多層な学習、という課題があるとおもいます。事実わたしの仕事ではほとんどがこういった話題です。

まだ小さな事例ではありますが、複数プロジェクトにおいても同期されたスプリントを実行するとえられる効果。そしてこの手法の転用方法や展開についてをはなせるとおもいます。

また、この考え方の根本ともちかい進化心理学からみたアジャイル開発についても話をすることになります。 チームとはミッションのためだけにあるものとかんがえることが、可能性をせばめているときづいた話です。 言い換えれば、なぜ人間はチームを作りたがるのかということについて学術的な側面と、経験的な側面について話します。

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